痴呆における治療の意義

認知症の基礎の説明

痴呆は、現時点では完治を望めない病気だと言われています。

 

これは、痴呆患者の家族にとっては
非常に辛い事実ですが、現実として受け止めなければなりません。

 

しかし、完治は望めないものの、
治療を受けることで状態の悪化を食い止めることは可能です。

 

完治しないと聞くと、治療そのものが無意味だと
考えてしまう人もいるかもしれませんが、
痴呆において治療は非常に重要な意味を持ちます。

 

痴呆には様々な症状が伴うため、二次的な
症状によって日常生活が困難に陥るケースも少なくありません。
治療によってこれらの二次的症状を防ぐことができれば、
日常生活を長く送れるようにすることも十分可能なのです。

 

痴呆で現れるようになった症状は、元に戻すことはできません。
しかし、侵されていない機能を治療によって守ることは可能です。

 

いずれは症状に侵されてしまうとしても、その時期をずっと遅らせることができるわけです。

 

痴呆の治療は、病気の完治ではなく、進行を遅らせることが目的だと言ってもいいでしょう。

 

また痴呆患者のケアには、介護が必要不可欠になります。
ごく初期の段階では介護の必要はありませんが、
症状が進むにつれ日常生活でも1人でできないことが増えてきます。
介護をなくして痴呆患者の治療を進めることはできませんから、介護もまた治療の一環だと言えるでしょう。

 

痴呆の治療では、薬物治療に加えて心理療法にも重点が置かれています。
症状の進行に伴って不安感を増す患者本人や家族のケアも、痴呆の治療の1つとして考えられています。