認知症の高齢者に接する時の注意点

  1. 転倒予防に留意する(滑りやすい物を置かない、段差をなくす、廊下や 階段には手すりをつける、夜間廊下の照明をつけておく、など)。
  2. 火の不始末が心配なときは、室外の元栓を閉めたり、電磁調理器や不燃物を使う。
  3. 暖房器やポットの熱湯に注意(ポットの使い方を知らずに火傷をする場合がある)。
  4. 風呂やトイレを認知症の高齢者が使いやすいように改造する。た、トイレの場所がわかりやすいように目印をつけ、トイレは外からも開けられるようにしておく。
  5. 家人をそばに置いておきたがるときは、家人の声の入ったテープを聞かせたり、ビデオを見せておく(民謡や昔の歌謡曲を喜ぶ人もいる)。
  6. よく転ぶときは頭蓋内に血腫ができていることもあるので、脳外科的検査をする。
  7. 全体としては、できるだけ認知症の高齢者がそれまで通りの生き方を継続できるような配慮をする。認知症の高齢者は新しいことを覚えるのが苦手だから、過去の記憶や「昔取った杵柄」で毎日を過ごせるような環境づくりをし、認知症の高齢者の周りを既知の物や過去の雰囲気で包む。
  8. 重要事項は、家族・親戚の合意の上決定するなど、家族や親戚の意志統一を図る。
  9. 特に、家族の理解と思いやりがどれだけ得られるかが介護者の疲労度に影響し、これが得られないと、家庭不和や離婚騒ぎに発展することがある。
  10. なお、孫が「友達」的な関係でよい役割を果たしてくれることもある(親戚との交渉は、夫を前面に立てたほうがうまくいくことがある。また、家族や親戚の中には身内をボケと認めたくない心理も手伝って、ボケてない所があるからボケではないと思いたがる人もいるし、普段協力的でない家族でも、何かあると「間いてなかった」と不満を言いがちなので、少なくとも情報だけはきちんと入れておく。)
  11. 今の状態が全体の経過の中でどの段階にあるのか、今後どのような事態が予想されるのか、そのためには今からどんな準備をしておけばよいのか、という具合に、全体の流れの中に現在の状態を位置づけ、常に先手先手を打って対処する(事後処理的な受け身の介護ではなく、予防的な介護を心がけたほうが、心理的にも疲れにくい)。
  12. 現実にはどこにも存在しない100%理想の介護を求めるのではなく、様々な試行錯誤の中から現状を一歩でも二歩でも改善していくという形で、一番無理のない「自分なりの介護医を確立する。」